新聞連載小説ってどう書くん? たぶんこうなんじゃないかと想像してみた

ちょっと一休み

最近は新聞をとっている人も減ってきていますが、新聞は「見たい情報」ではなく、一応は報道機関たる新聞社が「これは必要」と思う情報をコンパクトかつ漏れなくまとめているので、世の中の動きをきちんと把握したい人は新聞を紙で読むことをおすすめします。見出し見るだけでも何が起きているか把握できますのでね。
さて、今回はそんな新聞の必要論ではなくて、新聞に載っている連載小説についてのお話。
読んだことあります?

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「八日目の蝉」と「三島屋変調百物語事続」

我が家では読売新聞を購読しています。
新聞に小説が連載されていることは知っていましたが、きちんと最初から最後まで目を通したのは「八日目の蝉」と「三島屋変調百物語事続」の2つのみ。どっちとも長期入院・絶対安静で暇すぎて、寝ながら楽しめる娯楽を求めていたときでした。だから、新聞連載以外の小説もものすっごい読みました。すべて記録をつけていたのですが、データそのものが吹っ飛んでしまったので8割がた忘却の彼方です。

「八日目の蝉」は角田光代著、2005.11.21~2006. 7.24 、196回連載だった作品。
思わぬ妊娠をしてしまった主人公が、自分の過去(誘拐犯に育てられる!)や現在(逃亡中!?)に想いを馳せながら、子どもを産む決意をするまでの物語。主人公は不倫相手の子どもを身ごもり、産婦人科にかかるのですが、そのお医者さんが「予定日は緑のきれいなころ」と言うんですね。折よく? 私も第一子妊娠中で、予定日は6月と緑が鮮やかなころだったため「同じころの出産ね」と勝手に同調したのでした。小説のスラトシーンが瀬戸内海ってのも、同調ポイントでしたが、私は恵理菜ほど波乱万丈な人生ではない。
ドラマや映画にもなりました。

「三島屋変調百物語事続」は宮部みゆき著、2009. 1. 1~2010. 1.31 、385回連載だった作品。
ものすごーーーく簡単にいうと、「視える人・おちかが不思議でちょっと怖い出来事に巻き込まれる物語」。三島屋変調百物語自体は登場人物は同じだけど、物語自体はゆるくしかつながっていない連作で、1巻目はJAグループが発行する雑誌に連載され、2巻目は読売新聞、3巻目は『オール讀物』と『別冊文藝春秋』に不定期連載、4巻目は日経新聞、5巻目は北海道新聞・東京新聞・中日新聞・西日本新聞に連載。いろんなところで連載されながら出版されているという小説です。宮部みゆきだもの。おもしろさ間違いなし、かつ、「視える女の子の冒険譚」ってことで、エンタメ性高め。ハラハラドキドキ、しんみり、切ない。でも宮部みゆきだもの、ラノベ成分はありません。
だから単体で読んでも、まあ話は楽しめるのですが、普通に最初から読んだほうが人物関係が把握できます。

2巻目のタイトル「あんじゅう」、漢字で書くとたぶん暗獣なのかなーと思うんだけど、すっごくかわいいです! こういう妖怪なら会ってみたい! 表紙に描かれている子ですね。

八日目は半年の連載、三島屋は1年の連載でした。
病院にいたので、家族が新聞をまとめて持ってきてくれるのを楽しみにしていました。

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新聞連載小説、1日ぶんの文字数は?

新聞連載小説で気になるのは、「1回の文字数」ではないでしょうか。
私だけかしら。
これ、数えてみました。現在、読売新聞で連載されている浅田次郎さんの「流人道中記」を試しにテキストエディタに打ち込んでみたところ、だいたい800字前後。小説では400字詰め原稿用紙でカウントしますので、1日ぶんの掲載量はだいたい2枚くらいということになるでしょうか。まあ、新聞の字は大きくなる傾向があるので、昔はもしかしたら1200字くらいだったのかも。

八日目の蝉だと800字×196回=156,800字。一般的な文庫本は300枚程度、120,000字と言われているので、150回の連載が必要です。ふむふむ……。新聞連載の場合、少なくとも毎日掲載して半年くらいは必要という計算になりますね。
三島屋だと308,000字です。軽く文庫本2冊くらいのボリュームですが、1冊です。本として出版されたものを読み直しましたが、確かにごつかった。

800字の中にいわゆる起承転結を起こすのは難しいでしょうが(試しに打ち込んでみた流人道中記は、風景描写しかなかったでござる。あっ、でも最後に別れのシーンがあった)、800字……個人的にはちょっとボリュームあんな、という文字数です。作家ってすごい。

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新聞連載小説ならではの工夫

新聞連載小説は、多くの人が読むので、

  • 内容は大衆的
  • テンポがいい
  • 毎回見せ場が必要

だと言われています。

「大衆的」と「毎回の見せ場」は作家によるという気がしますが、テンポのよさは必要ですよね。
小説の世界にひたれるかどうかは「主人公に共感できるかどうか」にかかっているので、一人の主人公の視点で描かれる物語が多いとは思います。八日目の蝉だってヒロインの一人語りですし(途中から切り替わりますが)、三島屋もそう。花咲舞もそう。読売新聞のネタばっかりで失礼。
基本的に主人公の奮闘物語。毎日細切れに物語が展開していくので、舞台が二転三転する群像劇などは難しい気がします。視線が何回も変わると「これ誰だっけ、前の話忘れた」ってなりますからね。少なくとも私は。
つまり新聞連載を承諾した作家は、このあたりをクリアし、かつクオリティの高い作品を作っているんですね。

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新聞連載小説の仕事は、報酬がいい

えぇと、どこで見たか忘れましたが、新聞連載小説って報酬がすごくいいと聞いたことがあります。
条件がついてて、かつ「毎日連載」ってことである程度は書きためてあるか、すでに完成している原稿を新聞社に渡すことになるわけですから、どんなに素晴らしい作品が書けても遅筆だとかスケジュール通りに原稿が作成できないとかいう体質の作家さんでは、なかなか難しいわけです。スケジュール管理もでき、かつその新聞にふさわしいクオリティ、となると、確かにできる作家は限られそう。
また多くの人が目を通す小説であるため、出版されるとある程度は売上が確保できますしね。まあ、このあたりは想像ですが。
そんなわけもあって、報酬がいいのかな。

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まとめ

というわけで、新聞連載できる作家ってすごいね、というお話でした。
三島屋、おもしろいので、未読の方はぜひ。

あんじゅうかわいいよ、あんじゅう。2巻に収録。

あとこの話を読んでから、彼岸花の中に人がいるんじゃないかと思ってしまう…。